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ありふれた愛じゃない (文春文庫) 久々に村山由佳さんの本です。
前のHPに書いたことがありますが・・・・村山さんの本は、まさに”ヨミドキ”(まさに「イマでしょ!」みたいな)に当たる気がします。
今回も、実にしばらくぶりに読書熱に意識が向いたというか、ふらっと本屋に呼ばれて見つけた感じでした。
#そして本編連載時も単行の時も知らない作品があったとは。

登場人物の位置関係にそそられて(ちょうど、そういう位置関係について思うトコロがあったので)読み始めたところ、
すっかり、(私的な)村山作品のツボ満載でした。

村山作品の登場人物は、誰もが悪くないのに、すれ違いやうまく嚙み合わなくて、悪くなってしまうことが多いところ。
真奈も竜介も貴史もマリヴァもジョジョもクリスも、創造の中だけで特異に出てくるような人たちではないし、
その場所に行けば居そうな人たちの、場面や時間が切り取られている感じです。
そして、村山さんの作品では結構ありますが、曲がキーワードになっているもの。
今回はシャーデーの「No Ordinary Love」・・・・和訳的にそのまま、本のタイトルになっています。
さらに、やはり「色彩」の描写が印象的です。
虹、雲、空、海、月、砂浜、タトゥ・・・具体的な実物を思い浮かべるのではなく、ぼんやりと印象に思い浮かべられる風景を
あらわす言葉遣いがたまりません。綺麗の一言ではもったいないような。

ちょっとここからは完全に私的な感想。なかば、忘備録的な。

そして。私的に村山作品好きをな感覚がこの一言でした。
「本当はすごく寂しがり屋なのに、強がって頑張りすぎちゃう人」
#直接的な言葉で書かれたのを読んだことががない気がするので、思わずメモりました。
(ほおら、誰かさんみたいでしょ、というのは置いておいて)

もう一か所。
「誰もが、その人だけの人生を生きなくてはならない。それは自分にとっても同じことだ。
でも同時にその人生は、願うならどんな方向にだって舵を切ることができる。
強く大きな意思さえあれば、いつでも、何度でも。」
・・・・どこかでまったく同じテーマを聞いてますね-.-;)

あと、印象的な文章は
「つい、S極とN極をくるっとひっくり返してやりたくなるの。」
人との関係を磁石に例える文章に、つい、イイ気になりました。

散漫になりましたが、やっぱり、「ヨミドキ」だったかと思うような感じは抜けず。
すでにHPは閉鎖になりましたが、以前の文書を見たら、同じようなことを書いていました。
その時は『すべては雲は銀の・・・』についてでしたが、あからさまに「ダブる」かな、と。(2001年の記載でびっくり)
本作は2012年発表なのですが、同じテーマの楽曲も2012年でした(笑)

ちなみに本作の舞台はタヒチ。
ダイビングをやってなかったら知らなかった海の感じとか、光の具合とか出てきて、
行ってみたい気分満載です。
電車内で本を読んでいる傍ら、見上げたら、エアタヒチヌイの直行便就航記念の車内吊り広告だったのには笑えました。
どこまで、かぶる気?
2016/11/13(日) 16:10 Book PERMALINK
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